2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

証明不要な「顕著な事実」(民訴法179条)としては公知の事実のほか、当該裁判所にとって職務上顕著な事実をも含む(最判昭和28年9月11日集民9号901頁) #顕著な事実

電車内で女性に対する興味ないし関心を満足させるため、ハンドバッグの外側ポケットから定期券入れを抜き取ってポケットに収めたという事案につき、不法領得の意思を肯定した事案(東京高判昭62年7月9日) #不法領得の意思

窃取行為により刑務所に入ろうとする場合、行為者は、まさに窃取品を自己の所有物のごとくこれを商品などの財物として自己の支配下におき、これを検挙まで権利者を排して継続する意思を有するのであるから、その意思は不法領得の意思であるとして窃盗罪を認めた事案(神戸地判平成15年10月9日)

捕鯨に反対する被告人が横流しが疑われた鯨肉を調査目的で窃取したところ、最終的に警察に届出たが、その前に段ボールを開け鯨肉の肉片のサンプルを採取する等のその物の所有者でなければできない利用処分をしており不当領得の意思があるとして窃盗罪で有罪とされた事案(青森地判平成22年9月6日)

いわゆる「不法領得の意思」のうち、毀棄罪と区別する意味がある、「経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思」はわかりにくいが、判例は基本的には、毀棄隠匿意思がない限りこれを肯定するという態度を示しているので、判例を採用すればあまり悩まなくていいかもしれない。

学園祭の判例といえば、茨城県の某国立大学における「学園祭突入総決起集会」等を理由に除籍等された学生の処分が適法とされた事案(水戸地判昭和59年6月19日判例タイムズ528号143頁)が有名だが、30年前と大きく時代が変わったことが感じられる。

裁判長「判決を言い渡しますー解雇無効です。労働契約関係は存続してます」 労働者「…(勝ったのは嬉しいけど、あれだけ悪口言った会社に今さらどんな顔して戻ればいいんだよ!)」 というプレップ労働法108頁のコラムは、軽いタッチだが労働法上最もクリティカルな問題の一つを示唆。 #労働判例

阪神大震災により19日無断欠勤した従業員が「無断欠勤14日以上」という懲戒解雇事由に該当しないとした長栄運送事件(神戸地決平成7年6月26日労働判例685号60頁)。「少なからぬ従業員が震災後間もなく出勤している」という使用者の反論を退けた。 #労働判例

外資系は「アップ・オア・アウト」といわれているものの、外資系金融機関で前年約6000万円の収入を得ていた従業員につき、リーマンショック後のハイリスク商品からの撤退を理由に行われた整理解雇の効力が否定された事案(東京地判平成23年3月18日労働判例1031号48頁)。 #労働判例

レッドパージに対する国家賠償請求につき、マッカーサー書簡は降伏文書5項(連合国最高司令官の指示に服従する義務)によって法律上の効力を有していることから、これに基づく公職追放が「違法」行為に該たらないとされた事案(神戸地判平成23年5月26日判例時報2131号94頁)。 #労働判例

力士は自ら相撲道に精進するものであって大相撲協会に使用されて労働しているものとみることには疑問があるとし、力士養成員(幕下以下)の労働者性を否定したが、準委任類似の契約関係にあるとして一定額の仮払いを命じた事案(東京地決平成23年2月25日労働判例1029号86頁) #労働判例

髪型やひげに関する服務中の規律は事業遂行上の必要性が認められ、制限の内容が労働者の利益や自由を過度に侵害しない合理的な内容の限度で拘束力を認め得るとして、郵便局員のひげを理由とする人事評価等が違法とされた事案(大阪高判平成22年10月27日労働判例1020号87頁) #労働判例

長期間契約更新が繰り返された社内弁護士について、専門的業務であって上司の監督を受けないこと、外部法律業務を行える等の労働者性否定方向の事情があっても、給与決定支払方法、報告状況等から労働者性が認められた事案(東京地判平成21年12月24日労判1007号67頁) #労働判例

外資系証券会社社員に対するいじめ・差別的処遇があるとして、代理人弁護士に人事情報や顧客情報等の秘密情報を手渡したところ、正当目的のための秘密保持義務を負う弁護士に対しての開示なので守秘義務違反にはならないとした事案(東京地判平成15年9月17日労働判例858号57頁) #労働判例

posted at 13:17:47 郵便局職員(当時公務員)が有罪判決を受け、当然失職すべきところ、上司がこの事実を知らないまま26年以上勤務を続け、その後失職させられたという事案において、国側が失職を主張することが信義則違反や権利濫用ではないとした事案(…

プロ棋士と関西棋院との関係は雇用または雇用類似の契約とはいえないとして、棋士が当然に厚生年金についての被保険者資格を有するとはいえないとした事案(神戸地尼崎支判平成15年2月14日労判841号88頁) #労働判例

法律事務所職員が他の事務所の弁護士と結婚した場合、情報漏洩の可能性は抽象的にはあるが、事務員は雇用契約上の秘密保持義務を負っているのであり、通常はこの義務が尊守されることが期待できるとして解雇が無効とされた事案(名古屋高判平成17年2月23日労働判例909号67頁) #労働判例

挙式の1年以上前の予約キャンセルでは通常損害は発生しないとして、顧客都合の解除の場合申込金10万円を返還しないという式場利用契約の条項が消費者契約法9条1号違反として無効とされた事案(東京地判平成17年9月9日判例時報1948号96頁) #結婚式場トラブル

結婚式ビデオ撮影する契約をしたものの、新郎新婦の映っている映像が著しく少なく、重要場面で後ろ姿等しか映っていないというのは債務不履行に該たるとし、代金返還に加え、1人当たり7万円の慰謝料を認めた事案(東京簡判平成16年11月24日) #結婚式場トラブル

結婚式の当事者が暴力団員かどうかは、ホテル側にとって、挙式の契約をするかどうかを判断する上で重要な事項であり、これを知らなかったのは要素の錯誤に該当するとして式場予約を無効とした事案(広島地判平成22年4月13日判例時報2145号58頁) #結婚式場トラブル

行政財産は、その用途または目的を妨げない程度においてその使用を許可できるところ(地自法238条の4)、結婚式場を目的とする行政財産を第三者に同一の事業目的で使用許可したのは同条違反として許可処分を取り消した事案(浦和地判昭和61年3月31日判タ600号64頁) #結婚式場トラブル

結婚式に呼ばれなかった親族が上半身裸になって座り込み騒ぐといった妨害行為をしたため、仲人がその親族を叩いたという傷害事件につき、その行為は婚姻当事者らの権利を防衛するための正当防衛として無罪とした事案(田川簡判昭和39年4月2日下刑集6巻3〜4号374頁) #結婚式場トラブル

信用保証委託契約に基づく求償金には消費者契約法9条2号が適用されるが(東京高判平成16年5月26日判タ1153号275頁)、貸金債務及びその保証債務についての弁済方法等を定めた和解契約には適用されない(東京高判平成23年12月26日判例時報2142号31頁) #消費者契約法

消費者契約法9条といえば、依頼者が弁護士を解任したときは委任の目的を達したものとみなし報酬全額を請求できるとする「みなし成功報酬特約」を、着手金支払を前提に、本件に「通常発生する損害」はないとして無効とした横浜地判平成21年7月10日判例時報2074号97頁がある #消費者契約法

離婚原因を定める国民法770条1項1号にいう「不貞」とは、性別の異なる相手方と性的関係を持つことだけではなく、性別の同じ相手方と性的関係を持つことも含まれるというべきであるとした事案(東京地判平成16年4月7日) #LGBT

イラン刑法上、男性間の性行為に対し、石打ち刑による死刑に処するとされているものの、同法の執行状況等に鑑み、同性愛者であることを理由に迫害を受けるおそれがあるとは認められないとして、難民には該当しないとされた事案(東京地判平成16年2月25日訟月51巻1号102頁) #LGBT

会社が性同一性障害者である従業員に対して女性の服装容姿で出勤しないよう命じた業務命令に従わなかったこと等を理由としてなした懲戒解雇につき、解雇権の濫用として無効とされた事案(東京地決平成14年6月20日労判830号13頁) #LGBT

性同一性障害を有する男子受刑者に対する原型刈り又は前五分刈りにせよとの調髪処分の差止請求につき、外観上男性の特徴を備えており男性受刑者としての処遇を裁量権の逸脱・濫用ということはできない等として棄却した事案(名古屋地判平成18年8月10日判タ1240号203頁) #LGBT

戸籍上・生物学上の性は男性であるが内心・身体の外形が女性である留置人に対し、男性警察官らが全裸に近い形で身体検査をしたことや、一般の男性留置人が同室する共同房に留置したことが裁量の範囲を超え違法とされた事案(東京地判平成18年3月29日判タ1243号78頁)(再掲) #LGBT

戸籍上は女性だが男性として生活する性同一性障害者の交通事故による損害賠償請求訴訟において、性同一性障害を認定し、逸失利益は高卒の男性労働者の平均賃金を基にした基準を用いるのを相当とした事案(岡山地倉支判平成20年10月27日) #LGBT

婚姻中に懐胎した子につき、夫は性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づき男性への性別の取扱変更の審判を受け男性としての生殖能力がないことが戸籍記載上から客観的に明らかであるからその子は夫婦の嫡出子とは推定できないとした事案(東京家審平成24年10月31日) #LGBT