2014-01-01から1年間の記事一覧

授業における「こんな三流大学に入って,この先の人生は終わったようなものだ。」「一生懸命勉強してこの大学に入学した学生は,なおさら人間のカスである。」等との発言を認定した上で、解雇を有効とした事案(東京地判平成25年2月14日)

主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由第1 請求 1 原告が,被告に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあり,被告が設置するY大学の法学部法律学科教授の地位にあることを確認する。 2 被告は,原告に…

捏造発覚後、当初はAB教授共に停職3ヶ月だったが、不服申立てを経て、B教授は2週間、A教授は1ヶ月となった。この結論を正当化するとすれば、もともと学生はA教授の学生であるから、A教授が日頃からの倫理教育等というより重い責任を負うということだろう。 #論文捏造と責任

この事案は、学生がデータを捏造した事案であるが、A研究室に配属された学生が、A研究室と共通実験室を持つB研究室と共同研究をした事案で、学生が第一著者、B教授が責任著者、A教授が共著者となった。 #論文捏造と責任

もっとも、大阪地判平成20年12月26日判タ1293号185頁は、責任著者の責任が共著者の責任よりも軽い事案である。 #論文捏造と責任

同判決は、責任著者として論文の科学的な信頼性について極めて重い責任を負う立場にありながら、実験データや画像の信頼性に関する検証を行うことなく、助教が提示する虚偽の実験データや画像を採用し、学術専門誌に論文を発表したとして教授に停職処分を発した事例も紹介している。 #論文捏造と責任

その責任は重く、例えば、東京高判平成22年11月24日では、(既に具体的疑問点を示した指摘がされたのに、漫然と別の論文を発表したという経緯が情状を悪化させているという特殊性があるが)第一著者の捏造を理由に、責任著者である国立大学教授の懲戒免職が有効とされている。 #論文捏造と責任

その結果、責任著者は、単なる監督責任ではなく、実験ノートにより実験プロセスを系統的・時系列的に確認することにより、当該最終的な実験結果が科学的信頼性・再現性を保持していることを確認・検証する義務も負っていると認定されている(東京高判平成22年11月24日) #論文捏造と責任

責任著者(corresponding author)については、「論文の内容、すなわち論文の科学的信頼性や再現性について最終的な責任を負う者」であると認定されている(東京高判平成22年11月24日)。 #論文捏造と責任

これは、最終著者が責任著者でもある場合には、「責任著者としての責任」としての枠組みで議論が進むことが多いからではないかと思っているが、この推測は現段階では仮説に過ぎない。 #論文捏造と責任

最終著者(last author)は、研究室のボスがなることが多い。最終著者「として」の責任に力点を置いた事案は、調査した事例では、最終著者となった准教授が、第一著者である助教による捏造の監督責任を問われ戒告処分となった例のみ(東京高判平成22年11月24日)。 #論文捏造と責任

第一著者(first author)は、通常は実験を実際に行った(はず)の人がなる。実験の結果については第一義的責任を負うはずである。とはいえ、例えば学生だと、「教育中」として軽い処分がされることもある(大阪地判平成20年12月26日は厳重注意・倫理教育処分)。 #論文捏造と責任

裁判例としては、大阪地判平成20年12月26日判タ1293号185頁と、東京高判平成22年11月24日があり、後者には3つの事例(うち1つは大阪地判平成20年12月26日と同一の事例と思われる)が掲載されている。 #論文捏造と責任

論文の捏造等が発覚した場合、主に責任が問題となるのは、第一著者(first author)、最終著者(last author)、責任著者(corresponding author)、その他の共著者である。最終著者と責任著者は同一のこともあるが、違うこともある。 #論文捏造と責任

この分野は、「昔取った杵柄」(その具体的内容は「禁則事項!」)があるので、簡単にまとめたい。ただ、科学の中の各分野で「お作法」が違ったりもしているので、あくまでも「典型的」なものを、「裁判例」に基づき説明したと理解して頂きたい。 #論文捏造と責任

司法試験第二次試験の受験者である原告が、試験成績等の開示を請求したところ、平成11年度口述試験の総合順位を開示しないとした部分が取り消された事案(東京地判平成16年9月29日)

第三 争点に対する判断 一 認定事実 証拠(甲2の1、12、13、乙3、4、7、9ないし13、16、26、28ないし30)及び弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実を認めることができる。 1 第二次試験の各試験ごとの出題方針と合否の判定等における…

行政法は誘導に乗れば受かる。 #司法試験ネタバレ

刑訴では伝聞が出る。 #司法試験ネタバレ

会社法は問題となる条文が引ければ合格点が取れる問題が出る。 #司法試験ネタバレ

民訴では、法曹と修習生があまり考えた事のない論点について議論をしている。 #司法試験ネタバレ

憲法は、有名判例を軸に、それぞれの立場にとって有利な判例を組み合わせて書くと合格点。 #司法試験ネタバレ

「え!?」と絶句する予想もしていない問題・論点が必ず1つ以上出題される。 #司法試験ネタバレ

著作権法は1つの事案で問題となる支分権は1つじゃない。 #司法試験ネタバレ

民訴では、弁論主義か処分権主義に関係する問題が出る。 #司法試験ネタバレ

刑法では共犯の問題が出て、お互いに認識が異なる。 #司法試験ネタバレ

相続税軽減のための養子縁組を無効とした事案(浦和家熊谷支審平成9年5月7日家月49巻10号97頁)

主 文 本件申立てを却下する。 理 由第1 申立ての要旨 申立人は,その申立書に次のとおり記載して,申立人の戸籍に「養父と記載されている亡甲野太郎(大正2年8月9日生,平成4年9月9日死亡,以下「亡太郎」という。)との離縁の許可を求めた。 「1.…

窃盗事件について中等少年院送致処分を是認した理由を平易に説明した事案(福岡高決平成24年6月25日家月64巻12号39頁)

福岡高等裁判所 平成24年(く)第93号 平成24年06月25日 少年 A(平成7.6.1) 主文 本件抗告を棄却する。 理由 君が提出した抗告申立書を読むと、抗告した理由の要点は、審判までは、家に帰りたくない、お父さんに会いたくないなどと思ってい…

試験観察を求めて抗告した無免許運転の少年に対し、抗告棄却の理由を平易に説明した事案(福岡高決平成21年1月19日家月61巻6号122頁)

福岡高等裁判所 平成21年(く)第5号 平成21年01月19日 少年 A (平成元.5.19生) 主文 本件抗告を棄却する。 理由 君の書いた抗告申立書を読んで、君の言い分は、中等少年院送致(一般短期処遇)の処分は重過ぎて納得がいかないので、試験観察に…

傷害暴行の事実を争う少年の抗告を棄却する理由を平易に示した事案(大阪高決平成21年2月7日家月61巻6号120頁)

大阪高等裁判所 平成21年(く)第62号 平成21年02月17日 少年 A (平成5.9.11生) 主文 本件抗告を棄却する。 理由 第1 抗告の趣旨及び理由 君の書いた抗告申立書によると、君の言いたいことは、大津家庭裁判所は、平成21年1月21日に、君の傷…

社会内処遇ではなく中等少年院送致が適切な理由を平易に説明した事案(福岡高決平成20年2月8日家月60巻8号66頁)

福岡高等裁判所 平成20年(く)第8号 平成20年02月08日 少年 A (平成2.10.15生) 主文 本件抗告を棄却する。 理由 君の書いた抗告申立書を読むと、「長期(1年)ではなく、短期にしてほしいと思います」「これからは家出をせず、サイトにもアク…

行政処分の違法性の判断の基準時は当該行政処分がされた当時であり、処分後の事実状態の変動の主張は主張自体失当である(東京高判平成21年9月30日租税関係行政・民事事件判決集(徴収関係)平成21年1月〜12月順号21−36) #主張自体失当