2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

捏造発覚後、当初はAB教授共に停職3ヶ月だったが、不服申立てを経て、B教授は2週間、A教授は1ヶ月となった。この結論を正当化するとすれば、もともと学生はA教授の学生であるから、A教授が日頃からの倫理教育等というより重い責任を負うということだろう。 #論文捏造と責任

この事案は、学生がデータを捏造した事案であるが、A研究室に配属された学生が、A研究室と共通実験室を持つB研究室と共同研究をした事案で、学生が第一著者、B教授が責任著者、A教授が共著者となった。 #論文捏造と責任

もっとも、大阪地判平成20年12月26日判タ1293号185頁は、責任著者の責任が共著者の責任よりも軽い事案である。 #論文捏造と責任

同判決は、責任著者として論文の科学的な信頼性について極めて重い責任を負う立場にありながら、実験データや画像の信頼性に関する検証を行うことなく、助教が提示する虚偽の実験データや画像を採用し、学術専門誌に論文を発表したとして教授に停職処分を発した事例も紹介している。 #論文捏造と責任

その責任は重く、例えば、東京高判平成22年11月24日では、(既に具体的疑問点を示した指摘がされたのに、漫然と別の論文を発表したという経緯が情状を悪化させているという特殊性があるが)第一著者の捏造を理由に、責任著者である国立大学教授の懲戒免職が有効とされている。 #論文捏造と責任

その結果、責任著者は、単なる監督責任ではなく、実験ノートにより実験プロセスを系統的・時系列的に確認することにより、当該最終的な実験結果が科学的信頼性・再現性を保持していることを確認・検証する義務も負っていると認定されている(東京高判平成22年11月24日) #論文捏造と責任

責任著者(corresponding author)については、「論文の内容、すなわち論文の科学的信頼性や再現性について最終的な責任を負う者」であると認定されている(東京高判平成22年11月24日)。 #論文捏造と責任

これは、最終著者が責任著者でもある場合には、「責任著者としての責任」としての枠組みで議論が進むことが多いからではないかと思っているが、この推測は現段階では仮説に過ぎない。 #論文捏造と責任

最終著者(last author)は、研究室のボスがなることが多い。最終著者「として」の責任に力点を置いた事案は、調査した事例では、最終著者となった准教授が、第一著者である助教による捏造の監督責任を問われ戒告処分となった例のみ(東京高判平成22年11月24日)。 #論文捏造と責任

第一著者(first author)は、通常は実験を実際に行った(はず)の人がなる。実験の結果については第一義的責任を負うはずである。とはいえ、例えば学生だと、「教育中」として軽い処分がされることもある(大阪地判平成20年12月26日は厳重注意・倫理教育処分)。 #論文捏造と責任

裁判例としては、大阪地判平成20年12月26日判タ1293号185頁と、東京高判平成22年11月24日があり、後者には3つの事例(うち1つは大阪地判平成20年12月26日と同一の事例と思われる)が掲載されている。 #論文捏造と責任

論文の捏造等が発覚した場合、主に責任が問題となるのは、第一著者(first author)、最終著者(last author)、責任著者(corresponding author)、その他の共著者である。最終著者と責任著者は同一のこともあるが、違うこともある。 #論文捏造と責任

この分野は、「昔取った杵柄」(その具体的内容は「禁則事項!」)があるので、簡単にまとめたい。ただ、科学の中の各分野で「お作法」が違ったりもしているので、あくまでも「典型的」なものを、「裁判例」に基づき説明したと理解して頂きたい。 #論文捏造と責任