2012-11-25から1日間の記事一覧

電車内で女性に対する興味ないし関心を満足させるため、ハンドバッグの外側ポケットから定期券入れを抜き取ってポケットに収めたという事案につき、不法領得の意思を肯定した事案(東京高判昭62年7月9日) #不法領得の意思

窃取行為により刑務所に入ろうとする場合、行為者は、まさに窃取品を自己の所有物のごとくこれを商品などの財物として自己の支配下におき、これを検挙まで権利者を排して継続する意思を有するのであるから、その意思は不法領得の意思であるとして窃盗罪を認めた事案(神戸地判平成15年10月9日)

捕鯨に反対する被告人が横流しが疑われた鯨肉を調査目的で窃取したところ、最終的に警察に届出たが、その前に段ボールを開け鯨肉の肉片のサンプルを採取する等のその物の所有者でなければできない利用処分をしており不当領得の意思があるとして窃盗罪で有罪とされた事案(青森地判平成22年9月6日)

いわゆる「不法領得の意思」のうち、毀棄罪と区別する意味がある、「経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思」はわかりにくいが、判例は基本的には、毀棄隠匿意思がない限りこれを肯定するという態度を示しているので、判例を採用すればあまり悩まなくていいかもしれない。