2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

証人の公判供述に捜査段階供述との変遷はあるが検察庁における証人テストの過程で記憶が喚起されたと等証言の一部に変遷が生じた理由についてそれなりに合理性のある説明も述べている等として信用性を認めた事案(大阪地判平成22年8月2日) #証人テスト

T検事が公判主任のS検事に対して改ざんを告白し、これを聞いたSが、Tに指示してK検事を呼び出し、「証人テスト室」でKから改ざんがあったことを聞き出したと認定した事案(大阪地検特捜部証拠改ざん事件・大阪地判平成24年3月30日) #証人テスト

一審の証人の証言は証人テストにおいて50回もすり合わせて想定問答を暗記させたことによる等として控訴したが、控訴審は、証人の証言を除いた他の証拠によっても一審判決は認定できるとし、最高裁もこれを是認した事案(最決平成22年5月31日判タ1385号126頁) #証人テスト

刑事訴訟規則191条の3 証人の尋問を請求した検察官又は弁護人は、証人その他の関係者に事実を確かめる等の方法によつて、適切な尋問をすることができるように準備しなければならない。 #証人テスト

ゴムスポイトにインクを吸込ませ、正月三が日に5回にわたり初詣等に行く婦女の晴れ着にインクをかけて汚した事案につき、常習器物損壊ではなく、単純器物損壊罪であるが告訴がないとして公訴を棄却した事案(大阪高判昭和42年5月26日判時494号73頁) #初詣

暴走族のケツ持ちの暴力団員である被告人が、配下の暴走族が元旦未明に行う寺社境内での集会(通称初詣)の際に対立する暴走族が凶器を準備して襲撃するという話を聞き、木刀、金属製パイプ、つるはし等の凶器を準備した凶器準備結集等で有罪とされた事案(函館地判平成14年10月3日) #初詣

暴力団の組事務所で多数の偽造1万円札を配付され、初詣の参拝客で混雑する寺社の境内の露店で飲食物等を購入するに際して使用し、多額の釣り銭を得ることを企て、一団となって台東区の某寺社で行使したとして実刑を受けた事案(東京地判平成17年5月20日) #初詣

例年多数の初詣の参詣客が訪れる神社の鎮座2100年を記念する大祭に係る団体の発会式に地元の市長が出席して祝辞を述べた行為が憲法20条3項に違反しないとされた事案(最判平成22年7月22日判タ1330号81頁)原審によれば初詣の参詣者は例年18万人から20万人を超える #初詣

一般乗合旅客自動車運送事業者が、運輸大臣の認可を受けないでバス路線を延長運転した行為は、その区間の料金を徴収しなくても、事業計画を変更する行為として道路運送法違反とした事案(箱根登山鉄道バス路線無断延長事件控訴審判決・東京高判昭和38年6月19日判例時報350号9頁) #箱根

箱根町強羅の温泉権争いにつき、温泉権者がその泉源地に、温泉権を取得した旨を記した立札を立てた場合には、明認方法として対抗要件相当と認められるとした事案(東京高判判時837号47頁) #箱根

箱根山近辺の急カーブに差し掛かった乗合バスの乗客が転倒して負傷した事案につき、事故現場を含む箱根山一帯の道路状況は公知の事実であり、これについて車内放送が行われいたこと等から、運転手の過失が否定された事案(東京高判昭和57年5月20日判タ476号175頁) #箱根

知る権利の中に傍聴を請求できる権利が含まれていないとした上で、都立学校生活指導研究協議会(箱根宿泊集会)において、同集会の傍聴を要求し研修会場に押し入り混乱を招いたことを理由とする戒告処分が適法とされた事案(東京地判平成3年9月9日労判595号33頁) #箱根

失踪から約4年後、被保険者が箱根峠付近の山林内で所有自動車とともに遺体で発見された場合に、自殺の可能性を窺わせるに足る事情は存在せず、不慮の事故による死亡に該当するとして、災害割増特約死亡保険金の請求が認められた事案(東京地判平成11年7月22日判タ1056号267頁) #箱根

鉄道会社のバス運転士として勤務し会社再建計画によって退職した労働者らが、退職等の意思表示の錯誤無効等を主張したが再建計画を定めた労働協約は原告らとの関係でも有効であり錯誤はない等として請求を棄却した事案(箱根登山鉄道事件・東京高判平成17年9月29日労判903号17頁) #箱根

箱根温泉の温泉掘削許可処分無効確認訴訟において、周辺の源泉所有者の原告適格が争われ、井戸数の増加に伴い温泉枯渇の心配が高まったこと等から、処分により、自己の源泉の水位及び湧出量に影響があるから法律上の利益を有するとした事案(横浜地判平成24年4月11日判自372号19頁) #箱根

その他の「重過失」の判断事例

・飲酒帰宅したホステスが、ガスストーブで室内の暖をとりながらベツドで寝そべつて週刊誌を読んでいるうち寝入つてしまい、ベツドからずり落ちた掛蒲団にガスストーブの火が燃え移り、アパートを全焼させた場合重過失にあたらない(新潟地判昭和53年5月…

業務関係の「重過失」の判断事例

・ボイラー夫が北側焚口と蓋の隙間から火の粉が飛出し、前面床上に散乱している紙屑等に着火して燃え広がり大事に至る危険が存することを容易に予見し得たにも拘らず、このことに全く意を致すことなく漫然ボイラー室を立去り、番台で世間話をしていたために…

たき火と「重過失」の判断事例

・周囲を建物で囲まれた狭い場所でダンボールのように軽くて風に飛ばされ易い物を燃やしたのに、漫然と火は消えたものと考えて現場を去ったため燃え残りの火が周囲の建物に飛び移って本件火災を招来した場合、重過失がある(東京地判昭和58年10月13日…

暖房器具と「重過失」の判断事例

・掘こたつの側部・底部の木枠の蓄積過熱による発火は重過失に該当しない(東京地判昭和58年2月28日判タ498号117頁)。 ・ストーブに給油中、カーペツトに相当量の灯油をこぼし、燃えかすの切れ端等がそこに落ちたにもかかわらず、落ちた後を十分…

一般家庭の「重過失」の判断事例

・使用したトースターの電源を切らぬまま帰宅したため、過熱発火した場合には重過失がある(東京地判昭和42年8月2日判タ213号168頁)。 ・浴槽に水が入つてない状態で風呂の空だきをしたことから発生した火災は重過失にあたらない(東京地判昭和5…

11.「重過失」の意義

重過失とは、通常人に要求される程度の相当な注意をしないでも、わずかの注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然これを見すごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指すものと解するのを相当す…

10.失火責任法と国家賠償法2条との関係

国家賠償法二条による賠償責任についても、失火ノ責任ニ関スル法律の適用がある(神戸地伊丹支判昭和45年1月12日判タ242号191頁)。 「国家等といえども財政上の限界があり、国家賠償法四条、五条によれば、失火責任法の適用を前提としているもの…

9.失火責任法と国家賠償法1条との関係

公権力の行使に当る公務員の失火による国または公共団体の損害賠償責任については、失火ノ責任ニ関スル法律が適用される。(最判昭和53年7月17日民集32巻5号1000頁、最判平成1年3月28日集民事156号427頁)。 火災発生の可能性の比較的…

8.失火責任法と工作物責任(民法717条)との関係

この点、学説は百花繚乱を呈しているが、裁判例は以下の6つに分類・整理されている。(1)失火責任法が適用され民法717条の適用はないとするもの 大判明40年3月25日民録13輯328頁、大判大4年10月20日民録21輯1729頁等。 (2)民…

7.失火責任法と使用者責任(民法715条)との関係

被用者が重大な過失によって火を失したときは、使用者は、被用者の選任または監督について重大な過失がなくても、民法715条1項によって賠償責任を負う(最判昭和42年6月30日民集21巻6号1526頁、大判大正4年1月30日刑録21輯58頁)。

6.失火責任法と監護者の責任(民法714条)との関係

民法712条、713条は、責任無能力者の免責を定め、民法714条が監督者の責任を定めているところ、責任無能力者が失火を生じさせた場合に、監督者が責任を負うためには、監督者自身の監督における重大な過失が必要である(最判平成7年1月24日民集…

5.失火責任法と債務不履行との関係

債務不履行については適用されないので、賃借人が失火により借家の返還義務が履行できなくなった場合の賃貸人に対する民法415条による責任は失火責任法によって免責されない(大判明治45年3月23日民録18輯315頁、最判昭和30年3月25日民集…

4.失火責任法における「失火」の意義

「失火」とは、「人の過失に因り火災を惹起すの意」であって、「過て火を失し火力の単純なる燃焼作用に因り財物を損傷滅燼せしめたる場合は総て其中に包含」される(大判大正2年2月5日民録19輯57頁。火薬の爆発から生じた損害の賠償を目的とする訴に…

3.失火責任法が適用される場合の立証責任

失火者に対し不法行為による損害の賠償を請求する者は、失火者に重大な過失があつたことを立証しなければならない(大判大正4年10月20日民録21輯1729頁、最判昭和32年7月9日民集11巻7号1203頁)。

2.失火責任法と憲法29条との関係

不法行為によって権利を侵害された被害者は、不法行為者に対し、法の定めるところに従って損害賠償請求権を取得するにすぎず、失火責任法は被害者の有するなんらかの既得の損害賠償請求権を侵害するものではないのだから、失火責任法は憲法29条に反しない…