9.失火責任法と国家賠償法1条との関係

公権力の行使に当る公務員の失火による国または公共団体の損害賠償責任については、失火ノ責任ニ関スル法律が適用される。(最判昭和53年7月17日民集32巻5号1000頁、最判平成1年3月28日集民事156号427頁)。
火災発生の可能性の比較的大きい、危険な状態であるのに、消防団員が漫然と「しばやき」をしたことにつき重過失を認め、国家賠償請求が認めた事案がある(岐阜地判昭和56年7月15日判時1030号77頁)。
また、交通規制を行う警察官が,交通規制に用いた発炎筒につき,設置後の状況を確認して,消火,除去することを怠り,少なくとも交通規制で用いられた発炎筒1本について,発炎筒をまたいでいる車両等が存在しているかなどといった設置後の状況を十分に確認せず,確実に消火,除去しなかった場合に,上記警察官の行為には重大な過失があるとして責任を認めた事案もある(東京地判平成22年5月26日判タ1334号109頁)。
なお、消防職員来臨後の行為が問題となったものとして(大阪高判昭和55年9月26日判タ431号92頁、名古屋高判昭和55年7月17日判タ423号97頁、東京地判平成7年10月27日判タ915号100頁、盛岡地判平成8年12月27日判タ957号172頁いずれも責任否定)。