10.失火責任法と国家賠償法2条との関係

国家賠償法二条による賠償責任についても、失火ノ責任ニ関スル法律の適用がある(神戸地伊丹支判昭和45年1月12日判タ242号191頁)。
「国家等といえども財政上の限界があり、国家賠償法四条、五条によれば、失火責任法の適用を前提としているものと解されるので、一応不法行為上の責任については、失火責任法を適用すべく、公の営造物の設置又は管理上重大なる過失のあつた場合にのみ、よつて生じた火災損害につき、国家又は地方公共団体の営造物責任が生ずるものと解するのが相当である」
なお、そもそも従前から多数説は、国賠法4条の民法民法典に限らず、失火の責任に関する法律をも含めた実質民法を指すと解していた点に留意。