暖房器具と「重過失」の判断事例

・掘こたつの側部・底部の木枠の蓄積過熱による発火は重過失に該当しない(東京地判昭和58年2月28日判タ498号117頁)。
・ストーブに給油中、カーペツトに相当量の灯油をこぼし、燃えかすの切れ端等がそこに落ちたにもかかわらず、落ちた後を十分確認しないまま卒然その場を離れ、消火の際にも灯油の入つたポリタンクを倒し、火勢を強めてしまい、しかも、消火作業としても無意味な行動をしたのみであれば、重大な過失が認められる(東京地判平成1年10月19日判時1358号122頁)。
・石油ストーブの着火に使用した紙をもみ消した際、給油時にあふれた灯油がしみ込んだ床のカーペットにこぼれた火の粉が原因で火災を発生させ、しかも、火を消そうとして、誤ってポリタンクを倒し消火に成功しなかった従業員には、連続した軽微な過失はあるが、重大な過失があったとはいえない(東京地判平成3年4月22日判時1408号98頁)。
・石油ストーブへの給油に際して、事前にストーブの火を消すこともなく、かつ、カートリッジタンクの蓋の締まり具合を確認しないまま、タンクをストーブの上で逆さまにしたため、蓋の外れた給油口から飛び散った石油にストーブの火が着火して発生した火災につき、重過失が認められた事案(東京高判平成15年8月27日判タ1163号263頁)。