2012-12-28から1日間の記事一覧

法律婚の関係にある夫が、不貞行為の相手方との間で新たな生活実体を形成していたため、夫が死亡しても妻は遺族年金を受給できないとした上で、妻のこれまでの苦労への敬意と同情を示した事案(名古屋地判平成13年9月14日判タ1086号124頁) #蛇足

以上を総合すれば,いずれの観点からも,原告と甲との婚姻関係は,甲の死亡時点において既にその実体を失って形骸化し,その状態が固定して近い将来解消される見込みのない状態となっていたものというべきであるから,遺族厚生年金の受給資格を有していなか…

面会交渉を否定するにあたり、同情を示しながらも、子の成長を陰ながら見守ることが、子の福祉に適合し、幸せにつながるとした事案(大分家中津支審昭和51年7月22日家月29巻2号108頁) #蛇足

尤もわが子に会いたいという申立人の一途な気持も十分理解ができ同情を禁じえないところであるが、事件本人が成人して事理を弁識できるようになれば格別、それ迄は相手方夫婦の親権、監護権に服している以上、これを尊重して、面接を避け、事件本人の成長を…

中国残留孤児とその親であると確信する者の間に生物学上の親子関係はないとして、親子関係を否定するに当たり、深い同情を示した事案(釧路家審昭和57年3月15日家庭裁判月報35巻4号92頁) #蛇足

終戦の後三〇余年をすぎてようやく得られた手がかりをもとに、申立人が莫大な費用と労力を惜しまず、その生涯をかけて事件本人を捜索した結果が本件申立であることは、申立人の被つた苦労あるいは申立人の払つた努力のほんの断片を伝えるにすぎない本件記録…

運勢鑑定家の広告塔となっていた女優に対する被害者からの請求を棄却するに当たり、その知名度や影響力の不正利用防止のため注意せよと忠告した事案(東京地判平成12年9月27日判タ1050号145頁) #蛇足

被告甲は、我が国では著名な女優であって、好むと好まざるとに関わらず、その言動がファンのみならず、公衆やマスコミの注目を集めることから、良しにつけ悪しきにつけ、その知名度や影響力が利用される可能性があることは否定しがたいところである。したが…

大阪府警の犯人識別供述に関する旧態依然の実務に対し「一刻も早く本件のような旧態依然たる捜査方法を改められることを切に要望する」と警鐘を鳴らした事案(大阪地判平成16年4月9日判タ1153号296頁) #蛇足

なお,最後に一言,本事件の審理を担当して当裁判所の感ずるところを述べておきたい。 犯人識別供述は,実務上,有罪立証のための極めて重要な証拠であるとともに,前述のとおり固有の問題性を内在させていることから,その採取の方法や信用性の判断を誤ると…

「のぞき見目的で民家の囲繞地に侵入した事案」について、裁判所が検察の罰金10万円という求刑に不満を表し、懲役1年(執行猶予3年)に処すに当たり、検察官が「求刑変更の要否」を真剣に検討し直していないことを批判した事案(五條簡判平成23年10月7日) #蛇足

なお,本件の審理の経過等に鑑み,最後に一言当裁判所としての所感を述べる。 本件は,検察官の略式起訴に対し当裁判所が罰金刑で処断するのが相当な事案とは思われないとして「略式不相当」と判断し通常手続に移行した事案である。 しかるに検察官は,公判…

「昭和の巌窟王」吉田石松翁の再審無罪を言い渡すに当たり、被告人ではなく吉田翁と呼び、誤判を陳謝した事案(名古屋高判昭和38年2月28日判327号4頁) #蛇足

わが裁判史上曽つてない誤判をくりかえし、被告人を二十有余年の永きにわたり、獄窓のうちに呻吟せしめるにいたつたのであつて、まことに痛恨おく能わざるものがあるといわねばならない。 以上の次第であるから、被告人に対する本件公訴は結局犯罪の証明なき…

公訴事実を1年〜6年の間のどこかとする無断出国被告事件につき、訴因不特定を理由に公訴を棄却するに当たり、捜査官の苦労に同情を示した事例(東京地判昭和35年2月26日判タ101号78頁) #蛇足

日本全国どこからでも夜隠に乗じて出国することができる、しかも、事前にこれを探知することは不可能に近い、事件直後にこれを知ることさえ容易ではない、目撃証人等直接証拠があることは稀れである、この種事件の犯人は、捜査官に対し黙秘戦術に出るのが普…

水泳訓練時の水難事故につき、引率教師らを無罪とするに当たり、被害者らの心情等に思いを馳せた事案(名古屋高判昭和36年1月24日判時263号7頁) #蛇足

小中学校等における水泳未熟の年少者を対象とする集団的な水泳訓練については、これが指導にあたる教職員において危険防止の万全を期せねばならぬことは検察官の所論のとおりであるが、本件水難事故の原因が生徒の入水直後に起きた急激な水位の上昇と異常流…

もう1つの「コクリコ坂」〜コクリコ坂の時代背景を教えてくれる「蛇足」審判

コクリコ坂の時代背景を教えてくれる「蛇足」審判〜「判例史学」という新たな地平 - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生の日常

産院で取り違えられ、実の親子と同様の生活をしていた兄に対して,両親の死後、遺産争いを直接の契機として、戸籍上の弟らが提起した親子関係不存在確認請求を権利の濫用とするに際し、深い同情を表明した事例(東京高判平成22年9月6日判タ1340号227頁) #蛇足

原審における鑑定の結果によれば、甲と乙との間には生物学的な父子関係が存在せず、控訴人と丙との間には生物学的な母子関係が存在しないことが認められる。 そうであるのに、甲がいかにして乙・丙夫婦の実子として戸籍に記載され、養育されるに至ったのかは…