判例

不貞相手に対する慰謝料請求において、30年の婚姻がこれにより破綻した事、不貞期間も被告が自認するだけで8年と長い事等を考慮し300万円を認めた事案(東京地判平成22年7月6日) #不貞の慰謝料

過去に行われた贈与のうち、一部は慰謝料的財産分与としての性質を持っていたと認め、不貞行為を行いその後も交際を続けたことで57年の婚姻関係が破綻したとして300万円を認定した事案(京都家決平成22年8月31日、大阪高決平成23年2月14日家月64巻1号80頁で取消) #不貞の慰謝料

不貞行為の結果、婚姻関係の継続が困難となった他、原告は、勤務等社会生活を送ることが困難となる程のうつ状態になり精神科に通院し、長女らもパニック症になる等、原告の家庭生活はきわめて大きな痛手を受けたとして300万円の慰謝料を認めた事案(東京地判平成23年3月25日) #不貞の慰謝料

不貞相手への請求で、婚姻していることを知りながら不貞関係を継続し、虚偽の離婚届の提出にも積極的に加担し、その他原告らの婚姻関係にも積極的に介入したとして、不貞に基づく慰謝料として300万円(元配偶者と連帯となると判示)を認めた事案(東京地判平成23年5月19日) #不貞の慰謝料

数年に渡り継続的に不貞行為を行い、その結果、原告に適応障害(抑うつ状態)・睡眠障害を引き起こした上、被告との婚姻関係破綻により原告の聖職者としてのキャリアが閉ざされた等として400万円の精神的・経済的な損害の賠償を認めた事案(東京地判平成25年8月22日) #不貞の慰謝料

破綻までの間約8年間にわたって不貞相手と同棲を開始し婚姻を破綻させた継続的不貞行為につき、扶養を要する子があること、被告によるローン不払が原告がマンションにおいて居住し続ける期待を損ねたこと等を総合し、350万円の慰謝料を認めた事案(東京地判平成25年8月23日) #不貞の慰謝料

不貞後、別途定める金額の慰謝料を支払い、再度連絡をしたら1000万円の違約金との誓約書作成後、再度不貞をした事案で、慰謝料150万円、違約金条項は150万の範囲で有効、再度の不貞の慰謝料50万円として350万円の慰謝料を認めた事案(東京地判平成25年12月4日) #不貞の慰謝料

婚姻時に、過去のアダルトビデオ出演歴を告知しなかった事実自体は不法行為とは認められないが、婚姻後に男優との性行為を内容とするビデオに出演することは貞操保持義務違反であるとした事案(東京地判平成24年1月25日)って、サイ太先生が既に紹介された事案でしたっけ? #不貞の慰謝料

有責配偶者からの離婚請求を認めると同時に、300万円の慰謝料を認めた事案(東京地判平成15年1月31日)や500万円の支払いを命じた事案(東京家判平成19年8月31日)等があるが、これはちょっと違う筋の事案だろう。 #不貞の慰謝料

不貞相手のホストへの請求で、6年半も継続し妊娠可能性が高く、婚姻を危殆に陥れないようにしながら交際自体を享楽する感覚で不貞をしたのであっても、むしろこれは原告を愚弄するもので被告の責任を軽減しない等として400万円の慰謝料を認めた事案(東京地判平成22年9月3日) #不貞の慰謝料

「恋愛の自由市場における競争の結果に過ぎない」とうそぶき訴訟提起後も不貞を継続する不貞相手に対する請求において、離婚へ向けて助言し、子を妊娠させ、マイホーム建築を頓挫させ、調査費用を支出させた事等として400万円の慰謝料を認めた事案(東京地判平成22年10月7日) #不貞の慰謝料

不貞行為に対する請求に対する「ラブホテルに行ったがマッサージしかしていない」との抗弁が否定され、十数年に渡る婚姻が破壊され、心療内科に通院するような精神的苦痛を受けたことや養育すべき長女の存在等に鑑み、400万円の慰謝料を認めた事案(東京地判平成21年3月11日) #不貞と慰謝料

医師が既婚の患者と情交関係に陥り、患者の夫から訴えられた事案で慰謝料400万円を認めた東京地判平成13年8月30日というのがあるが、この「患者」というのが精神病患者であり、その意味で例外事案。なお、裁判官が被告の対応にマジギレしている。 #不貞の慰謝料

2 被告の責任と慰謝料の額について (1) 当裁判所が、本件審理において提出された証拠に基づいて判断する限りにおいては、被告が本件における自己の行為について真摯に反省し、原告に対して心から謝罪をしていると認めることはできない。少なくとも本件の審…

不貞に関する慰謝料だと私の知る限り東京地判平成21年4月8日の800万円が最高額(より高額の事例があれば、ぜひ教えて下さい。)だが、その内容は、不貞行為によって子を生ませるだけではなく、家族を遺棄し、偽造の離婚届を提出して不貞相手を妻として入籍させたような事案。 #不貞の慰謝料

判例検索をすると、不貞の慰謝料として200〜250万という事案は「割合的」に少ないのだろうが「件数」としては結構見つかる。慰謝料が300万以上の事案はあるが相当少なく、婚姻破綻事案(離婚慰謝料事案を含む)で、不貞が長期に渡り継続し、被害が重大な事案という感じか。 #不貞の慰謝料

不貞による慰謝料の相場は「300万円」だと、ある弁護士の先生がおっしゃったことから、法クラの間に衝撃が走っているようなので、不貞の結果として高額な慰謝料が認められた事案を調査しました。思ったより調査に時間がかかりました。 #不貞の慰謝料

授業における「こんな三流大学に入って,この先の人生は終わったようなものだ。」「一生懸命勉強してこの大学に入学した学生は,なおさら人間のカスである。」等との発言を認定した上で、解雇を有効とした事案(東京地判平成25年2月14日)

主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由第1 請求 1 原告が,被告に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあり,被告が設置するY大学の法学部法律学科教授の地位にあることを確認する。 2 被告は,原告に…

捏造発覚後、当初はAB教授共に停職3ヶ月だったが、不服申立てを経て、B教授は2週間、A教授は1ヶ月となった。この結論を正当化するとすれば、もともと学生はA教授の学生であるから、A教授が日頃からの倫理教育等というより重い責任を負うということだろう。 #論文捏造と責任

この事案は、学生がデータを捏造した事案であるが、A研究室に配属された学生が、A研究室と共通実験室を持つB研究室と共同研究をした事案で、学生が第一著者、B教授が責任著者、A教授が共著者となった。 #論文捏造と責任

もっとも、大阪地判平成20年12月26日判タ1293号185頁は、責任著者の責任が共著者の責任よりも軽い事案である。 #論文捏造と責任

同判決は、責任著者として論文の科学的な信頼性について極めて重い責任を負う立場にありながら、実験データや画像の信頼性に関する検証を行うことなく、助教が提示する虚偽の実験データや画像を採用し、学術専門誌に論文を発表したとして教授に停職処分を発した事例も紹介している。 #論文捏造と責任

その責任は重く、例えば、東京高判平成22年11月24日では、(既に具体的疑問点を示した指摘がされたのに、漫然と別の論文を発表したという経緯が情状を悪化させているという特殊性があるが)第一著者の捏造を理由に、責任著者である国立大学教授の懲戒免職が有効とされている。 #論文捏造と責任

その結果、責任著者は、単なる監督責任ではなく、実験ノートにより実験プロセスを系統的・時系列的に確認することにより、当該最終的な実験結果が科学的信頼性・再現性を保持していることを確認・検証する義務も負っていると認定されている(東京高判平成22年11月24日) #論文捏造と責任

責任著者(corresponding author)については、「論文の内容、すなわち論文の科学的信頼性や再現性について最終的な責任を負う者」であると認定されている(東京高判平成22年11月24日)。 #論文捏造と責任

これは、最終著者が責任著者でもある場合には、「責任著者としての責任」としての枠組みで議論が進むことが多いからではないかと思っているが、この推測は現段階では仮説に過ぎない。 #論文捏造と責任

最終著者(last author)は、研究室のボスがなることが多い。最終著者「として」の責任に力点を置いた事案は、調査した事例では、最終著者となった准教授が、第一著者である助教による捏造の監督責任を問われ戒告処分となった例のみ(東京高判平成22年11月24日)。 #論文捏造と責任

第一著者(first author)は、通常は実験を実際に行った(はず)の人がなる。実験の結果については第一義的責任を負うはずである。とはいえ、例えば学生だと、「教育中」として軽い処分がされることもある(大阪地判平成20年12月26日は厳重注意・倫理教育処分)。 #論文捏造と責任

裁判例としては、大阪地判平成20年12月26日判タ1293号185頁と、東京高判平成22年11月24日があり、後者には3つの事例(うち1つは大阪地判平成20年12月26日と同一の事例と思われる)が掲載されている。 #論文捏造と責任

論文の捏造等が発覚した場合、主に責任が問題となるのは、第一著者(first author)、最終著者(last author)、責任著者(corresponding author)、その他の共著者である。最終著者と責任著者は同一のこともあるが、違うこともある。 #論文捏造と責任

この分野は、「昔取った杵柄」(その具体的内容は「禁則事項!」)があるので、簡単にまとめたい。ただ、科学の中の各分野で「お作法」が違ったりもしているので、あくまでも「典型的」なものを、「裁判例」に基づき説明したと理解して頂きたい。 #論文捏造と責任