母が独断で付けた「精子」という名につき、本来子の名の命名の自由を有していた父の心情も無視することはできず、命名できなかったことへの不満からの改名の希望はできる限り斟酌されるべき理由があるとして、改名が許可された事案(那覇家審昭和47年10月30日家月25巻9号128頁) #名の変更

関連事案としては、出生届に際し、親権者の一方がほしいままに命名して届け出た名を、父母間で協議し合意のできた名へ変更することの許可を求めた事案につき、従前の名の届出の効力自体は否定できないが、従前の名が社会生活上いまだ定着していないと認められる特段の事情がある限り戸籍法107条2項の「正当な事由」があると解すべきであるとした上、子の年齢、現在の生育状況等から右の特段の事情が認められるとして、名の変更を許可した事例(山形家鶴岡支審昭和57年11月29日家庭裁判月報36巻3号161頁)や、出生した子の名は、父母が共同親権者である場合には父母が協議のうえ命名すべきものであり、その一方の意思に反し他の一方の意思のみに基づくものである限り、その届出は有効ではあるが命名は違法であるから、父母の双方が協議のうえ改めて名を定めた場合には、改名にともなう弊害が顕著であるなど特段の事情がないかぎり、その名に改名する正当な事由があるというべきであるとした(函館家庭裁判所審昭和45年10月22日家庭裁判月報23巻6号73頁)等があります。