国立大学医学部入試に不合格とされた受験者が年齢を理由とした差別として入学の許可を求めたが、年齢を考慮したと認めるに足りる証拠はないし、仮に年齢を考慮したとしても医学部の特殊性に鑑みれば合理的等として請求を棄却した事案(東京高判平成19年3月29日判タ1273号310頁) #試験

「被控訴人(注:大学側)は,合格のためには,知力,体力,気力が必要であるとし,医師として活躍するには,6年間の課程に加えて,臨床研修2年間も含め卒業後10年くらいの経験が必要であることを考慮するように入学試験応募者に説明しているが,このような点を考慮することには合理性があり,受験者を合理的な理由なく単に年齢によって差別することとはならない。」

大学入学試験の合否判定の誤りを主張してなされた国家賠償請求につき、合否判定の性質上必ずしも一義的・客観的な判断基準に従って判断するのには適せず、公正・妥当な試験実施機関の最終的な判断に委ねるのが適当な事項であるからその当否は司法審査の対象とならないとして請求が棄却された事例(東京地判平成2年6月27日判例時報1359号83頁)と比較すると勉強になる。

なお、
http://www.clb.law.mita.keio.ac.jp/j-committee/index.html/hashizume.pdf
【pdf注意】によれば、原判決は前橋地判平成18年10月27日判例集未登載とのこと。