2013-04-13から1日間の記事一覧

【上告】高裁(正確には第二審の裁判所)に上告状を提出すべきだが、直接最高裁に持って来てしまったという話を聞いた事も。法律上、上告理由は極めて限定されており、特に民事では、荒唐無稽な上告理由をでっちあげるより、上告受理申立に絞って誠実に主張する方が最高裁が応じてくれ易い場合もある。

【週末の当職】平日に起案等が進まない弁護士にとっての期待の星。時々その期待に応えてくれることもあるが、ツイッターをやっていたらいつの間にか週末が去って行ったといった事例も散見され、その場合には、気が重い月曜日が待っている。用例:週末の当職に期待。類義語:明日の当職

【認否】相手の主張する事実を争うのか争わないのかを示すこと。法律上は単純に書けばいいのだが、依頼者の意向により、「概ね認める」「〜の限りで認める」「強くは争わない」とか「強く否認する」「全くの虚偽であり、刑事告訴も辞さない覚悟である。」等グラデーションのある表現をすることがある。

【弁護士ランキング】某経済誌が行う、企業の法務部等のアンケートをまとめたもの。「なるほど」と納得する先生方も多いが、なぜこの先生が入らないのだろうという事例も多いところ、一部の事務所から、クライアントに対する熱烈な投票依頼があると聞いたことも。例えば、某事務所とか某事務所とか。

【首振り】合議体事件で訴訟指揮等に関する決定を裁判体で行う場合、法壇上で、裁判長が右陪席と左陪席に対して、同意するかを確認する手続。多くの場合は何の問題もなくそのまま首を振って手続が進むが、時々「この点は、ちょっと別室で合議しましょう」となることもある。

【労働事件】「長時間残業」が問題となる事案では、もしかすると、原告代理人、被告代理人、裁判官の全員が、「自分の労働時間の方が、長い、ような…」と思っているかもしれない。

【三つ葉産業】一部の修習生が「夜の修習」等身分を明かすのがはばかれる時に自分の所属先として使う言葉。会話の中で修習先を「うちの会社」とでも呼んでいれば、なんとなく誤摩化せることもあれば、誤摩化せないこともある。

【弁論準備手続】法的な位置づけは争点と証拠を整理する手続。裁判官、当事者、代理人が1つの机の周りに集まる。広い部屋の確保が難しい事が多く多数当事者の事案等では狭い部屋にすし詰めになりがち。夏は裁判所の空調が効いていないこともあって、それだけで和解へのインセンティブになることも。

【尊属殺重罰規定違憲事件】栃木実父殺し事件(最判昭和48年4月4日刑集27巻3号265頁)が有名だが、同じ日に自殺の道連れにと養父を殺した事件(判タ291号165頁)、嫁姑争いの末、おにぎりに猫いらずを塗った事件(判タ291号154頁)で違憲判決が出たことはあまり知られていない。

【事務所の仕事に支障をきたさない限り、刑事事件や個人事件は自由にやっていいよ】「事務所の仕事の処理で手一杯で、刑事事件や個人事件なんかできるはずないよ」

【依頼者のため二十四時間三百六十五日考えに考え抜くのが弁護士の本分】「だから、土日勤務や深夜残業よろしくね!」

【留学費用は出してあげるよ】片道切符だから、留学後の転職先は自分で考えておいてねという意味。

大西先生の悪魔の辞典が非常に面白いが、「法律で悪魔の辞典」企画は07年からやってる日本裁判官ネットワークが大元のように思われます。ただ、裁判官の内輪ネタという印象を受ける面も

日本裁判官ネットワーク

【医療過誤事件】「カルテを読むのにドイツ語の解読能力が必要なんでしょう?」と言われることがあるが、今ドイツ語で書いているカルテはむしろレア。格闘する相手は医師の「ミミズが這っているような乱雑な文字」。なお、電子カルテで状況は変わりつつある。

【憲法違反】一審や控訴審では「憲法違反を言い出すと、『根拠が憲法しかなく負け筋』と思われるのではないか」と思って憲法違反の主張をせず、上告段階で突然憲法違反の主張を追加する例が往々にして見られる。この場合、原審不経由として上告理由に該当しない(最判昭和57年7月19日等参照)。

【ブランド案件】一見格好いいし、ライセンス契約のレビュー等、確かにそういう案件もない訳ではないが、多くの場合は偽造品・模造品業者と権利者の血みどろの戦いである。居留守、恫喝、泣落とし、夜逃げ、訴訟遅延、手元不如意の抗弁、和解金が第一回から払われない等、大人の世界を経験できる案件。

【経験則】根拠がないことを意味する。メイン争点における自己の主張の根拠がこれなら負け筋であることを意味する。「経験則上明らかである。」と「明らか」まで付け加わると、その可能性は更に高まる。類義語:公知の事実、自明の理、理由を縷々述べるまでもない