2012-12-05から1日間の記事一覧

椎谷紀芳「自白ー冤罪はこうして作られる」は、古いが、黙秘権の重要性をよく理解できる一冊。 #黙秘

ベテラン刑事が記者と話す。「人間はな、そんなに強いもんではないよ。細かな所はどうでもいい。キメ手などは出さんでもいい、ただし殺しを自供させてくれ、と被疑者をあてがわれれば、三人でも四人でも同じように自白させてみせるよ。今どきそんなことが、…

黙秘権を行使する等して、自白等の直接証拠が存在しない事案における情況証拠による事実認定につき、「情況証拠によって認められる間接事実中に、被告人が犯人でないとしたならば合理的に説明することができない(あるいは、少なくとも説明が極めて困難である)事実関係が含まれていることを要する」とした判例が参考になる(最判平成22年4月27日刑集64巻3号233頁) #黙秘

本判決の経緯については最高裁の暗闘 少数意見が時代を切り開く (朝日新書)作者: 山口進,宮地ゆう出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2011/01/13メディア: 新書購入: 2人 クリック: 73回この商品を含むブログ (14件) を見る参照。

相当期間勾留されている現在においても被告人は黙秘していて、その供述が今後得られるとは期待できないこと等を考慮事情の1つとして、本件について被告人には罪証隠滅のおそれはないとして、勾留の取消を認めた事案(福岡地決昭和48年7月6日刑月5巻7号1159頁) #黙秘

氏名を黙秘したため、上野警察署留置番号一九号と呼ばれた被告人が、「上野一九」という名前で控訴したところ、氏名に黙秘権はない(最判昭和32年2月20日刑集11巻2号802頁参照)から、適法な控訴ではなく無効とした事案(東京高決昭和54年12月20日判時967号135頁) #黙秘

強姦致傷被告事件において被害者の証言が信用できない等として無罪としたが、当番弁護士による黙秘の勧めを中心とする弁護活動は検察官による公訴提起を招き寄せる効果しか有しない「まさしく有害無益なもの」と弁護戦略を批判した事案(東京地判平成6年12月16日判時1562号141頁) #黙秘

なお、弁護戦略として、黙秘をして勾留理由開示等の任意に供述できる場面で被疑者の主張を記録化させるといった戦略や、もっとシニカルに「弁解をすると潰される」という理由で黙秘するといった戦略もケース・バイ・ケースであり得るところであり、一般に「…

過酷な取調べが現になされている以上、被告人の黙秘権が実質的に損なわれていることは明らかであって、仮に黙秘権の告知が形式的になされていたとしても、それは単なるリップサービス以上の意味を有するものではないとして、調書の任意性を否定した事案(大阪地判平成18年2月3日) #黙秘

被告人は「言いたくないことがあったら,どうする?」と質問された際、「いう。」などと答えており、黙秘権の内容を理解しているとは認めがたい応答をしていること等から訴訟能力が欠けているとして公判手続を停止した事案(さいたま地川越支決平成18年10月12日判タ1246号345頁) #黙秘

訴訟能力というのは、一定の訴訟行為をなすに当り、その行為の意義を理解し、自己の権利を守る能力を指す(最決昭和29年7月30日刑集8巻7号1231頁)

警察官が、黙秘を止めさせ供述を促すため、被疑者の実父や孫らが黙秘を止め取調べに応じるように説得する内容の文章等を記載してこれを呈示し、それでも黙秘を続ける被疑者の両足首をつかんでその用紙を踏ませたことが特別公務員暴行陵虐罪に該当するとした事案(福岡高判平成20年9月9日) #黙秘

いわゆる志布志事件

一審で黙秘していた被告人が事実関係についても供述しようとしているのに、控訴審裁判所が、被告人質問を情状のみに制限したのは違法とまではいえないが、被告人に事実関係についても供述の機会を与えることが望ましかった(田原睦夫補足意見最判平成21年2月10日裁判集刑296号73頁) #黙秘

弁護人として黙秘を貫くよう指示したにも関わらず、被疑者が事実関係を供述したい旨申し出たことから「ふざけるな。」と怒鳴り、「余計なことをしゃべったら、お前、どうなっても知らないぞ。」等と申し向けて脅迫した等として、弁護士を実刑判決に処した事案(宮崎地判平成21年4月28日) #黙秘

主 文 被告人を懲役1年6月に処する。 未決勾留日数中50日をその刑に算入する。 訴訟費用は被告人の負担とする。 理 由 (罪となるべき事実) 被告人は,東京弁護士会所属の弁護士であり, 第1 甲に対する盗品等有償譲受け被告事件の弁護人であったもの…

「黙秘するんやったら、俺の納得できる理由を述べてからにせえ。」「警察と検察ひっくるめて喧嘩したいんやったら,俺の前で黙秘したらええわ。それが得になるんか考えろ。」等という警察官の言動の下で作られた調書の任意性が否定された事案(大阪地判平成23年3月1日) #黙秘

「被告人が(盗品の)入手経緯を説明しないという事情をもって被告人が犯人である方向に推認することは、被告人の黙秘を事実認定上被告人に不利に扱うことになり、これが許されないことは黙秘権の当然の理」として、有罪とした一審判決を破棄した事案(高松高判平成24年6月19日) #黙秘

いわゆる「近接所持」の法理との関係では window.twttr = (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0], t = window.twttr || {}; if (d.getElementById(id)) return t; js = d.createElement(s); js.id = id; js.src = "https://plat…

黙秘を不利に扱えば被告人は弁解し根拠づける必要が生じ、国家権力対個人の不平等是正の理念を揺るがす。黙秘権は黙秘への社会的感覚を排した冷静な判断を求める。黙秘するのは真実だからという経験則があるならそれに基づく心証形成は禁止される(和歌山地判平成14年12月11日) #黙秘